《小学校において、教科担任制が本格的に導入されます》(2020年8月21日)


 中央教育審議会の特別部会が20日、2022年度から小学5、6年生で「教科担任制」を導入する案を示しました。何度かお知らせしてきましたが、本日の報道で、「教科担任制」が具体的に動きだすことが決まりました。教科については、算数、理科、外国語が例示されています。

 小学5、6年に教科担任制案 22年度から 授業の質向上など狙う 中教審(毎日新聞)

 これまでにも市町村等の判断で、小学校においての教科担任制がすでに導入されているところもありますが、今回の件により、全国的にこの動きが加速するでしょう。
また、別の記事では、小中両免許を取りやすくすることも、あげられています。

 翻って本学の状況はと言えば、何度もお伝えしてきましたが、まさに逆行しています。

 平成28年度入学生から、初等教員養成課程は教科等の選修制が廃止されました。「小学校免許のみの取得を前提とするカリキュラムになり、特に28年度の開始当初は中学校免許を取ることにも抑制的で、どのように中学校免許を取る形にするかの制度設計も不十分なままでした。その点はやや整備され、現在では入学後に希望教科の学力テストを受けて一定水準に達している学生だけは、中学校2種免許を取るための授業を受講することが認められます。結果的に1種免許を取ることができた学生もいるようですが、これはあくまでも結果としてということであり、大学がそれを全面的に認めている状況ではありません。

 28年度からのこの改革に多くの教員は反対しました。学習指導要領の改訂に伴う英語教科化や、学習内容の難化、小中9年間を見通した教育の必然化など、すでに「教科担任制」が将来的に導入されることは予測されていました。
それに何よりも、福岡教育大学は、長きにわたり、小学校教員養成課程において、教科等の選修制を取り、それは良き伝統として引き継がれてきたからです。
その良き伝統を、よりによって、さらに充実することが必然であった時期に、本学は真逆に舵を切りました。

 元学長、前学長、飯田現学長(前教育学部長)は、どのように責任を取られるのでしょうか。

 昨年11月の学長選考の折、飯田現学長の対立候補は、早急に学校教員養成課程に改編し、小学校中学校両方の免許取得を可能にするカリキュラムへと変更する必要を述べられました。
学校教員養成課程の中で、小学校に軸足を置くカリキュラムと中学校に軸足を置くカリキュラムを併存させ、9年間を見通す教員養成カリキュラムに整備する必要があるという主張でした。
それは特別なアイデアではなく、すでに他の教育大学や教育学部がそのようなスタイルを取っていることに基づいていました。 本学の教員養成は一体どこに向かっていくのでしょう。

 ちなみに、既存の大学院修士課程は廃止となり、来年度から教職大学院に一本化されます。
教科の専門性を高めることに尽力してきた修士課程の廃止は、小中学校での学習内容の高度化に対して本学が即応していけるのか、さらに疑問を投げかけます。