《学長候補者公聴会が開かれ、教員90名から質問書が提出されました その4》(2019年11月24日)


(質問書の内容の続き、今回で完結です。)

◆社会連携・国際交流について

 近年、国際交流については、上述のように交流協定更新についての問題があり、キャンベラ大学との協定が廃止され、生涯教育課程の廃止も影響し、留学生数が減少している。また国立大学にとって社会連携の重要性が高まり続けていることも言うまでもない。
 飯田候補の所信表明書には、社会連携については「本学教員の教員研修に関するシーズを、本ネットワーク(九州教員研修支援ネットワーク)のシステムを通じて、九州管内の教育委員会および教育現場に発信していきます。このような取り組みが、本学に求められる社会貢献の姿」と記されており、社会貢献が教員研修分野での教育委員会・教育現場への貢献に限局されているようである。また、国際交流については所信表明書に言及が見られない。
 他方、江頭候補の所信表明書では、「コミュニティユニバーシティ」制度による地域連携が提示されており、国際交流についても、協定校の増加、グローバル教育人材育成、海外短期研修制度拡大が挙げられている。
 両候補に、現状の課題をどう捉え、どのように社会連携・国際交流を推進する考えをお持ちか伺いたい。

◆委員・役職への選出について

 本学に設けられている種々の委員会・室の委員は、以前は講座から選出されるものがほとんどであったが、寺尾学長・櫻井学長のもと、学長や部局長による人選に改められていった。その最たる例が、教育研究評議会評議員について、以前は各講座から選出していたところ、現在では員数を減じたうえで、学部長による人選に改められている。こうした変更により、以前は各教員が様々な業務を経験し、大学運営に参画する機会があったが、現在では限られた教員が特定分野の委員を務め続ける状況となっている。
 また、副学長についても、寺尾学長就任時は理事兼任の3名のみであったが、以後増加し続けてきた(現在9名)。副学長のなかには寺尾学長就任時以来10年間継続している方もおられる。飯田候補ご自身も、現在学部長の任期3期目・5年目となっており、過去の学部長と比べて長期在任となっている。

 このように、寺尾前学長・櫻井現学長のもと、委員・役職人事の偏りや在任期間の長期化が進行してきたと考えられる。こうした状況は、飯田候補の所信表明書にある「教職員が一丸となる盤石な体制」、江頭候補の所信表明書にある「役職や業務を、適材適所の基本的考えに基づいて配置するとともに、プロジェクト等により多くの構成員に参画していただくことで、限られた人員に業務が偏ることによる硬直化や閉塞感を打破」することから見て、望ましくはないのではないか。
 両候補には、上記の現状の評価と、今後の委員・役職の人選についての考え方、また、学長就任後には現在の役職者が同一または異なる役職に留任するお考えをお持ちか、伺いたい。

◆情報の公開・共有について

 寺尾前学長・櫻井現学長のもと、上記の通り教授会での審議の形骸化が進み、また教育研究評議会の議事概要が極めて簡略化されたこともあって(人選の改変により議論が減った可能性もある)、現在学内でいかなる施策が進行中であるか、多くの教職員はその全体像も細部も不明である。学長による全学説明会は回数も少なく、時間も極めて限られており、議論の場では到底ない。多くの構成員による検討を経ないことで、学長の方針はハードルなく実現するようだが、実際には学内の批判にすら耐えられない施策が広く社会において有効性を持ち得ないことは、上記のカリキュラム改革、英語習得院等々の重大な問題からも明らかである。教職員として、学生や学外に対し大学の現状と方針を伝えることもできない。上記の交流協定問題のように、枢要の地位にある役職者ですら状況を把握できず、かえって責任所在の不明確化を招いている。多くの構成員に対し、「知らせず、議論させず、関与させない」ことによって、学長のガバナンスは一見強固に貫徹しているようであるが、その内実はかつてなく脆弱であり、本学の存続発展のためにまことに憂慮すべき事態が何年も続き、深化している。

 議論を恐れる秘密主義により密室で大学を運営する道と、学内の風通しを良くして現場へ、広く社会へと大学を開く道と、いずれが本学を発展に導くかは明らかであると考えるが、両候補はどのようにお考えか伺いたい。