《学長候補者公聴会が開かれ、教員90名から質問書が提出されました その3》(2019年11月23日)


(質問書の続きです)

◆研究等の業績評価について

 上述したように、現在本学では、教員の採用・昇任に際し、対象者の専門分野の教員組織での業績審査が廃止され、学長の人選による教員人事委員会およびそのもとでの審査会で審査が行われることとされている。教員組織から昇任人事対象者を推薦・提示することもできない。

 飯田候補の所信表明書には、教員就職率の維持への貢献や「学校教育における課題解決に資する実践型の研究」を評価し、「理事や学部長を加えた教員人事委員会において、本学の第4期中期目標・中期計画の達成に尽力する教職員の人事考課を一層公正かつ適切に実施」とある。

 「学校教育における課題解決に資する実践型の研究」を評価することで、本学に所属する多様な分野の教員のうち、特定の専門領域の教員が事実上優遇されることになるのではないか。また、大学として推進する研究は、現在の制度では役員によって取捨選択がなされる。教員の採用・昇任人事の方式は上記の通りである。こうした制度下で「人事考課を一層公正かつ適切に実施」することは、事実上、学長の意に沿う少数の人員を優遇することに陥る懸念が強い。ここ数年の昇任人事において、そうした事情を疑わせる事例が複数見られ、賞与の成績率に関しては、飯田候補ら部局長による推薦と学長の決定によるので、誰がいかなる基準で評価されたかすら全く明らかではない。

 他方、江頭候補の所信表明書には、「各専門分野の妥当な規準に即した、公平な指標に基づいて研究業績を評価する体制を導入」「人員配置や予算措置については、根拠・過程・結果をオープンにし、学内での公明公正な評価が可能となるよう」とする、とある。これについては、具体策は明らかではないが、上記の現状とは異なる方向性と思われる。
 両候補には、上記の問題点・懸念を踏まえ、公正な教員の業績評価とはどのように行われるべきとお考えか、伺いたい。

◆教育研究費について

 飯田候補は、平成27年度の研究開発担当副学長・教育学部長への就任当初、役員会決定による教育研究費の激減という事態を受けて、前年度には予告されていなかった研究費配分措置を実施し、研究費配分が大幅に遅れ様々な支障が生じた。この突然の教育研究費激減により、予定されていた授業が年度途中で打ち切られ、新聞報道もなされた。前年度までに科研費を申請していなかった教員に対し、基盤的研究費を配分しない(申請していた教員には5万円を配分)という措置も突如なされた。
このH27年度の教育研究費激減が以後の研究費水準のベースとなって今日に至り、本学は教育大学のなかで、研究経費の大学予算に占める割合が特に低い大学となっている。他方、学生および教員から多くの不満や問題点が指摘され、会計検査院の調査対象ともなった英語習得院には多額の予算が支出され続けている。
両候補には、寺尾学長以来の本学の教育研究費に関する施策をどのように位置付け、今後どのような施策を採るお考えか伺いたい。

(次回で完結です。)