《学長候補者公聴会が開かれ、教員90名から質問書が提出されました その2》(2019年11月22日)


 (質問書の続きです)

◆教授会運営について

 教授会は、学生教育・教育課程編成・教員の教育研究業績審査に責任をもつものである。しかしながら、現在の教授会には運営上の大きな課題があると考えられる。

・教授会審議の問題:教授会は「審議機関」であり、各人の意見交換の場にとどまるものではない。しかし飯田候補は議長として、構成員から要望が出た場合にさえ、教授会としての結論を得ることを避けており、その教授会運営は規程上も妥当でないと考える。教授会の責任のあり方を両学長候補はどのように考え、また学長として教授会との関係や、学内の協力体制をどのように作ろうと考えているか伺いたい。寺尾学長の任期当初までは、学長は教授会に出席して自ら議論に加わっていたが、教授会に出席されるご意向かどうか伺いたい。

・学生教育上の責任における問題:海外協定校との交流協定の更新がなされないまま、またその状況を教授会に開示しないまま、留学による休学が教授会で報告された。飯田候補は、教務委員会委員長としてその休学を審議しながら、交流協定は連携推進課および国際交流・留学生支援推進本部の所轄として状況を適時に把握しておらず、協定未更新により学生が受けた被害は審議されないままであった。教授会としての学生教育への責任を、両候補はどのように考えているか伺いたい。

・教授会における教育研究業績審査の問題1:現在、採用・昇任対象者の専門分野の教員組織(以前の講座)による審査が廃止され、教員人事委員会とそのもとに置かれる審査会の人選および審査過程が不透明であるため、公正性が危惧される状態で教授会審議がなされている。この改変についても教授会での審議が要求され、問題が指摘されながら、議長である飯田候補は教授会審議を認めないままであった。両候補は、現状をどう評価し、どのように対応するか伺いたい。

・教授会における教育研究業績審査の問題2:研究上のオーサーシップについても、教授会の教育研究業績審査において課題となっている。単著の修士論文抄録や福岡県派遣長期研修生の研修報告書とほぼ全く同一のものが、教員との共著論文となっていることが問題とされた。教授会議長・研究倫理担当副学長である飯田候補は、それについて問題ないという見解を示し、結果多くの教員はそれに納得せず、抗議のため教授会を欠席して流会となったこともあった。両候補は、この問題をどう評価し、どのように対応するか伺いたい。

◆人権問題について

 人権教育を積極的に推進することは教員養成大学である本学にとって重要である。しかるに、本学では不当労働行為という人権(憲法に規定される人権としての労働基本権)問題につき、最高裁での確定まで、係争中であることを理由に対応を怠ってきた。これは以下の2点からも看過できない問題である。

・危機管理規程の不履行:「国立大学法人福岡教育大学危機管理規程」に基づき「危機管理基本マニュアル」が策定されており、対応すべき危機の一つとして不当労働行為が挙げられている。法人は、学外の公的機関(労働委員会、裁判所)から救済命令や判決により幾度も不当労働行為の認定がなされたものの、何ら対応しないままこれを否認し、最高裁の上告不受理に至った。さらに、法人が不当労働行為への対応を放置する間に、教授会では講座運営や学生の就学環境にも悪影響が出ているとの訴えがあったにもかかわらず、学部長(学部の危機管理責任者)であった飯田候補は何ら対応しなかった。両候補は、法人および学部長の対応をどう評価し、不当労働行為の再発防止にいかに取り組むか伺いたい。

・人権侵害に対する認識と対応の不備についての問題:教授会において、議長であり人権教育推進委員でもある飯田候補は、不当労働行為を「労働組合法に関するものであり人権侵害に関するものではない」と述べた。その認識の誤りを指摘し、改めて議長の考えを問う質問に対しても、飯田候補は意見を述べる立場にないと回答するのみで、自らの人権に関する見解を構成員に明確に示さなかった。また、人権教育推進委員会で議論された記録もない。両候補は、学長として、本学学長が起こした不当労働行為という深刻な人権侵害をどのように反省し、今後、どのように人権教育を推進していくのか伺いたい。

◆学部長・研究科長の役割について

 以前、教育学部長・研究科長は教授会での互選により選出されていたが、寺尾学長により学長による指名に改められ(この規程改変は教授会で否決された)、飯田候補はそうして指名された最初の学部長である。以前の学部長・研究科長は、教授会の代表として時には学長に対し強い諫言・進言を行うこともあり、教授会で学部長が学長に対する抗議の辞職を宣言したこともあった。他方、飯田候補は、上記のように教授会で本来審議すべき課題を審議せず、結論を得ることを避け、審議機関としての形骸化を図ってきたと考えざるを得ない。すなわち、学長の代理人として教授会からの批判・意見を塞ぎ止める役割を果たしてきたと言わざるを得ない。  両候補は、学長就任後、学部長・研究科長にいかなる役割を期待されるか伺いたい。

(更に続きます)