《特別支援学校建設による学内野球場の危機》(2019年11月4日)


 当FB宛に以下のような情報をいただきました。特別支援学校建設について、学内の説明会で当初聞いた話とは異なり、野球場のピッチャーマウンドが更地にされる計画などが学生に告げられたとのことです。私たちにも十分情報はないのですが、その状況で知らぬ間にこうした事態が進行していくことに危機感を覚えます。

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 先日、授業の後に準硬式野球部の学生から相談を受けました。「特別支援学校の建設に伴って野球場が使えなくなります…どうすれば阻止できますか」と。特別支援学校は野球場を避けるように建設すると聞いていたので、はてなと思いましたが、その時は工事車両の入構等で一時的に使えなくなる話なのかと思っていましたが、後日別の方に「野球場の一部を潰して特別支援学校のグラウンドを造るという計画があるらしい」と聞きました。先の学生が怒りと困惑の混じった調子で私に話をしていたのも、そのことを誰かから既に聞いていたのだと理解しました。「僕たちは野球場がなくなると福津にある野球場を有料で借りなければいけません。往復の交通費と練習器具の運搬に自腹を切らないといけない上に、練習時間も短くなります。せっかく今年の大会で全国大会まで行ったところなのに、部員と一緒に頭を抱えています。硬式野球部と共に要望書も出してるのですが、どれほど聞いてもらえるのか…」

 準硬式野球部は、今年の夏に全国大会の出場を決めたにもかかわらず、部員と道具一式の運搬の旅費が足りずに、募金をして、かろうじて集まったお金で(本人たちも負担しながら)試合に臨んだという経緯も持っています。基本的にお金が潤沢に与えられる部活動ではありません。部員はその中でやりくりして、やっと本学の野球場で練習ができている状況だと聞きました(どこの部活もギリギリのお金で運営していると思います)。

 そこにきて今回のニュースはかなり大きなショックだったようです。「僕たちはもう卒業だからあまり関係ありませんが、後輩たちが練習できなくなるのは上級生としては耐えがたいものがあります。怒りをどこに向けて良いか分かりません。何でもするから阻止したい」どんなアクションが取れるか、という相談だったわけです。

 準硬式野球部が受けた説明を改めて詳しく聞きました。学生に配布された計画(本学側の計画か、県側の計画かは確認できていませんが)によれば、野球場の外野に相当する部分に150mのトラックを持つグラウンドを造ることになっており、それとは別にピッチャーマウンドを更地にするという計画です。これだけでも事実上野球部は活動できなくなります。現在は野球部は公式試合を本学の野球場でも使用しており、それはもはや不可能となります。

 計画ではグラウンドを使用する時間帯(夏期休暇・冬期休暇を除いて年間を通して8:00~15:00、運動会時期はテント等設置を含めて2週間)が記されており、それ以外は野球部は「使用して良い」と説明を受けています。普通に考えると「使用を許可」されるのは支援学校の方ではないかと思いますが、とにかくこれまでよりも使用が制限されるのは必至です。学生の予測では、これ以上に特別支援学校なんだから使用可能時間帯でも下校中は困るとか、打球が校舎に飛ばないように配慮しろ、などと追加の注文が先から先につくだろうと。加えて、特別支援学校に高等部ができれば部活動も始まるので、そうなるとまた本学学生の野球場の使用制限がさらに追加でかかってくることも予測されます。

 野球場がなくなることは、野球場を使っている部員だけの問題ではありません。福岡教育大学の野外で活動するスポーツ部全体の問題です。アメリカンフットボール部やラクロス部もアカデミックホールの建設によって活動スペースが奪われました。今後野球部はアメリカンフットボール部やラクロス部と今わずかに残っているグラウンドの使用を分け合わないといけないかも知れません。

 特別支援学校のグラウンドが一旦できると、再びそこを野球場として戻すことは非常に困難です。将来いつかは練習スペースが復活する(新しく用意される)かも知れない、という希望が叶うのはゼロに等しいのではないでしょうか。これまで、多くの野外スポーツの学生がそんなに熟考されたとは思えない計画の犠牲となってきました。

 課外活動だけの問題ではありません。本学の野球場は、野球部が使用するのみならず、体育の授業でソフトボールなどをする場所にも使用されています。それは特別支援学校の言う8:00~15:00の時間帯に実施されますが、それはどうするのでしょうか。 さらに計画からははっきりしませんが、体育館の建設はするのでしょうか。だとすればどこに? しないのであれば本学の施設を利用するのでしょうか?

 特別支援学校が本学敷地内にできること自体が許されるとしても、本学のグラウンドを本学の学生よりも別の学校に優先させてしまうという計画は非常に大きな問題です。なぜ他の学校の建設のために本学の学生が犠牲にならなければならないのでしょうか。そのような犠牲を学生が受けることは計画の一部だったのでしょうか。それとも、特別支援学校のグラウンドの建設は想定外だったのでしょうか。どちらにしても学生をあまりにも無視しすぎているとしか言いようがありません。そのような計画が出てきた段階で学生のことは考えないのでしょうか。なんとも思わないのでしょうか。本学執行部はどのように考えているのでしょうか。

 相談に来た学生は「計画は突然言い渡された。このまま計画通りに行くのか、変更の余地はあるのか、誰に聞けばいいのか。どのように物事が進んでいるか、全く伝えてもらえない。僕たちの意見はどこまで通っているのか。出した要望書はどのように扱われているかわからない」と不透明な計画に多大な不安を感じています。

 この問題は、学生の犠牲に加えて「予定にはなかったであろう」土地の差し出しを孕んでいる可能性もあります。体育館の建設もこの後湧いて出てくるのでしょうか。その度に本学学生はツケを払っていくのでしょうか。計画どおりなのか、想定外のことがこれから次々に加わっていくのでしょうか。

 大学側の不透明な議論のプロセスは教員のみならず、ダイレクトに学生をも巻き込んで混乱を強いています。