《教科担任制の推進など、文科省が中教審へ諮問》(2019年4月20日)


 先の記事で、小学校高学年を中心に、文科省が教科担任制を推進しようとしていることを、お伝えしました。
17日付で文科省が正式に中教審へ諮問いたしました。

 小学高学年で「教科担任制」推進 文科相、中教審に諮問(毎日新聞)

 この諮問には、高校における教科横断的な教育の推進や、外国人児童・生徒への教育としての異文化理解や多文化共生の在り方、教科担任制推進に向けた教員配置や教員免許の在り方、小中学校の連携などが含まれます。
毎日新聞のこの記事においては、教科担任制について「現在も音楽や理科などで多く実施されている」と、教科によっては既に実施されていることも紹介されています。
また、義務教育学校や一貫型小中学校の数が増えていることも挙げられています。

 本学では、平成28年度から選修制が廃止され、教科の専門性をそぎ落とした形のカリキュラムへと改悪されました。
実はその直前の平成25年にカリキュラム改革を行なっており、カリキュラムの完成、つまり4年間にわたる学生の学びの結果を見ることもなく、全く別のカリキュラムに変更したのは異様な事態とも言えます。
平成25年度のカリキュラムは、小学校教員としての力の向上を目指す改革を行いつつ、教科選修制のもとで教科を教える力を養おうとしたもので、中高一種免許を取得することも可能でした。

 現在、初等教員養成課程の学生は、中学校二種免許取得テストで一定の成績を取った者だけが、二種免許を取得するための教科を受講することが認められています。つまり、彼らが中学校高校一種免許を取得することは、ほぼ不可能なのです。ちなみに二種免許というのは、短大卒業者が取得できるという位置づけの教員免許です。

 28年度改革の際、寺尾前学長は、「小学校は全科教えるのだから」ということを繰り返し述べていましたが、既に記事内でもあるように、教科によっては、教科担任制は取り入れられていましたし、学習指導要領の改訂で教科内容が難化することも予測されていたのです。小中高の学びを連続して見通す必要性も既に言われていました。

 本学は長きにわたり、初等選修制を採ってきたのであり、それを、平成28年からすべて廃止する必然性は、まったくありませんでした。

 小学校英語の教科化も決定されており、小学校における英語の専門家育成は当然必須と見られている状況下でありながら、初等課程の英語選修を廃止したことを見れば、「初等選修制の廃止」がどれほどの愚策であったか、ご理解いただけるでしょう。
また、生涯教育系においては、かつて、福祉・国際・環境・情報・芸術・スポーツのコースがありました。特に、平成28年の初等選修制廃止の流れのなかで、最後まで残っていた、福祉、国際・環境・芸術にかかわるコースもすべて廃止となりました。学校支援員の育成や多文化共生などのさらなる重要性が当時から予想されていましたが、本学執行部は「生涯教育系廃止反対」の学生の声、卒業生の声、教員の声をすべて無視しました。

 現在の本学の教員養成のありかたは、明らかに時代に逆行しています。
本学は教育大でありながら、複数の教員免許を取ることが困難な矛盾した大学なのです。

 寺尾前学長、櫻井現学長、役員会、執行部の大学経営は明らかに失敗しています。
監事、学長選考委員は、なぜ、彼らの経営責任を問わないのでしょう。