《複数免許取得の方向に加速しているのでは?》(2018年5月18日)


 福岡県の教員採用予定数が発表されました。

 小学校が690名、昨年より90名の増加です。
また、今年から小学校に、「英語有資格者枠」が別枠で20名増設されました。
小学校の採用数は増加しましたが、中学校予定数は総数240名で、昨年度から10名の減です。
福岡市の採用予定数が全体的に激減しており、福岡市受験予定者が、福岡県受験へと志望を切り替えて、なだれ込んでくることも予想されます。

 小学校受験者のうちの「英語有資格者」については、以下の内容となります。
「中学校教諭(英語)又は高等学校教諭(英語)免許状を有する者(取得見込みの者を除く。)、実用英語技能検定2級合格者、TOEFL(iBT)42点以上取得者、TOEFL(PBT)440点以上取得者、TOEIC 550点以上取得者又はこれらと同等の資格を有する者」に、英語関連の試験を免除することとなっています。

 英検有資格やTOEFL/TOEICのスコアの要件をクリアしているものを優遇することは他県とも共通ですが、今年度、新たに、小学校教員志望者で、中高の英語免許を持っている受験者を、優遇する条件に入れたことは、特筆すべきことです。

 何度もお知らせしてきたとおり、
本学では28年度入学の初等教員養成課程の学生から、選修制の廃止により、中高免許取得が非常に難しくなりました。
今年度教採受験予定者は、初等の選修を持つ最後の学生であり、中高免許取得予定のものがほとんどです。
今年度受験生は免許取得予定ですので、英語別枠への出願はできませんが、来年度ももしこの枠があれば、万が一教採を落ちた者も、来年この枠を利用することができます。

 本学では長きにわたって、複数免許取得の伝統がありましたが、28年度生から、一気にその伝統がくずれました。
他大学についての状況を見ますと、小中連携、小中一貫、義務教育学校の増加が叫ばれるなか、従来から、複数免許取得の可能性の大きいカリキュラムのあるところがほとんどですが、 新たに、複数免許取得を、必須の条件、即ち大学の卒業要件として位置付けるところが出てきました。

 千葉大学教育学部は、学生に対して、複数免許取得を義務付ける改革を行います。
ここは、中学校教員養成課程の学生が、専門とする教科の一種免許以外に他教科の二種免許を取得することを義務付けてきました。が、さらに、学校種を越えて複数免許取得も義務付ける改革を行うようです。
小中教員の一体人事などもすでに現在行われている地域があり、これらへの対応も予想しているようです。

 一般論として、資格はないより、あったほうがいいわけです。
教員免許のように、取得が容易でないものは、その理屈がよりあてはまります。
それはまた、深い内容を伴う教科の授業ができることに、必ずつながります。