《本学の教育実習の現実は?》(2017年10月27日)


 本学の教育実習に関する新聞記事が出ました。
本学HPにもその旨広報されています。

 朝日新聞の記事は以下のようなものです。

朝日新聞朝刊《2017年10月14日(土)》
「1年生時からの教育実習に力を入れる大学が増えている。教員の仕事を早期に体験することで、学生が教員の楽しさや自分の適性を知ることができるという。福岡教育大学では以前は1年生が参加する体験実習は選択制で、近隣校の運動会の手伝いが中心だったが、2016年度から必修科目にし、県内に40以上の協力校を確保し、学生が普段の授業を体験できるようにした。」

 この記事の中にはいささか頭をひねる箇所があります。

 本学が体験実習を昨年から必修にしたことは事実ですが、それ以前も教員養成課程の学生はほとんど体験実習に参加していました。

 体験実習だけではありませんが、現在の初等教員養成課程の学生は、多くの科目を必修化されたため、自由選択単位の幅が小さくなってしまいました。学びの自由が以前よりのかなり制限された形になっています。

 以前の体験実習は、以下のようなものでした。

 宗像地区小学校・園で、授業・保育、学校行事や課外活動に参加します。
先生の補助を行い、子どもに付き添い、見守り、子どもの様々な可能性に目を向け、子どもの安全に気を配るという体験を通して、教育者の視点を体験します。

 朝日新聞記事では「運動会の手伝いが中心」と書かれていますが、運動会の補助のみならず、合宿研修補助など、各種の学校行事や活動に参加していました。

 もちろん運動会も、学校にとっては最も重要な学校行事の一つであり、実施する先生方の姿を、先生予備軍の立場として身近で見せていただくことは、非常に意味があったわけです。

 以前のシステムの中で、宗像地区の学校には、児童や生徒と関わりを持てるような様々な工夫をいただいたり、入学したばかりの学生を合宿指導の補助として引率してくださったり、学校側に大きな理解と協力をいただいていました。宗像地区の先生方にとって、この記事は何か腑に落ちないものになってはいないでしょうか。

 従前の体験実習について何より重要であったことは、大学近くの宗像地区で行われていましたので、学生にとっては、近隣の学校とのつながりがこれをきっかけに出来て、その後も日常的に学校の活動等にボランティアとして参加させていただくことができるようになっていたことです。
放課後の活動に参加させていただくことで、学生は学校を身近に感じ、多くのことを学ばせていただきました。

 しかし、昨年度からは、学生は基本的に福岡県全県の学校に、割り振られて体験実習を行うこととなり、全県ゆえ遠方の人もいて、以前のようにその後の日常的な学校活動に参加することが、難しくなった側面があります。

 小中学校の授業等に1日単位で入らせていただくことは学生にとって勉強になるでしょうが、1年生は教員になるための授業を受け始めたばかりであり、学校に3日間も入らせていただくだけの力量を持っておらず、体験実習を引き受けていただいている小中学校、何よりそこに在籍する子どもたちに、かなりの精神的負担を強いている側面があると思われます。
授業の見学については、以前は教科教育や教科内容についてある程度学んだ後に、2年次の基礎実習の授業で主に行っていました。

 宗像地区の学校行事や活動を中心に、学生が体験実習に参加させていただいていた従前のプログラムが、体験実習後、基礎実習、本実習へと学年を追って学びを深めていたことは、実はより効果的であったのではないでしょうか?