《教育研究組織として、教職教育院はこれで良いのか?》(2017年3月6日)


 本学には、寺尾副学長が学長時に鳴り物入りで立ち上げた「教職教育院」があります。 これは大学の組織上は、教育研究組織であり、教育研究組織として教育学部にぶら下がる形で設置されています。 また学則においても、講座と並ぶ形で、教育研究組織として記載されています。

 教職教育院には現在60名あまりの教員が、多くは講座と兼任の形で所属しています。 この組織は、本学の教員養成に関わる主要な問題を扱う、中心的な教育研究組織として置かれています。

 「教職教育院規程」によると、その業務は次のものです。
(業務)
第3条 教職教育院は,次に掲げる業務を行う。
(1) 各課程の入学者選抜に関すること。
(2) 各課程の教育方針,教育課程及び授業科目等の運営に関すること。
(3) 各課程の教育実習の改善方策の策定と運営に関すること。
(4) 各課程のキャリア教育,学生指導及び就職支援に関すること。
(5) 教職教育院以外の者からの各課程への参画に関すること。
(6) その他課程に関すること。

 教職教育院の構成員は次のようになります。
第4条 教職教育院は,次に掲げる者で構成する。
(1) 院長
(2) 副院長
(3) 学長が指名した大学教員
(4) その他学長が必要と認める者
2 前項各号の教員は,前条の業務を担うために教育研究の基盤を教職教育院に置くものとする。

 また、教職教育院には次のような形の運営組織が置かれています。
(教職教育院運営会議)
第7条 第3条に掲げる業務を遂行するため,教職教育院に教職教育院運営会議(以下「会議」という。)を置く。
2 会議は,第4条に掲げる構成員並びに教育支援課,学生支援課及び入試課職員の中から院長が指名した者15名程度をもって構成する。
3 会議の議長は,院長が務める。

 この規程からは、「教職教育院運営会議」は、教職教育院の構成員「並びに」教育支援課、学生支援課及び「入試課職員」の中から院長が指名した者15名程度で構成されるため、教職教育院の中にではなく、教職教育院の外に置かれた組織であると解釈されます。 本学でも○○センターの運営会議が、その外側に置かれていたことと同様の立ち位置にあると言えましょう。

 この組織については、教職協働も謳われていることから、業務の遂行については事務職員の参画も必要でありましょうが、次の疑問があります。
・教育研究組織の外にあって、教職教育院構成員に事務職員を加えた形で構成された運営のための会議で、教育研究事項(教務、カリキュラム、入試等々)に関する決定を行うことができるのか。
・「教職教育院運営会議」で決定した教育研究事項を、教授会に提案することができるのか。
・そもそも運営会議の規程も現行では存在しないため、何を行うのか不明である。
・なぜ、教職教育院構成員全員で、教育研究事項を審議しないのか。

 「教職教育院運営会議」について、寺尾副学長や学部長は「規程ではこうなっているが、運用でカバーしている」と説明していますが、それでは運用によって実質的に規程を改変することまで可能になってしまいます。規程が有名無実化するとともに、大学の運営自体が場当たり的になり、不安定化します。

 教育研究組織としての妥当性・透明性・安定性を確保する必要があります。

(この問題については、継続して扱います)