《学長が決めれば規程違反の疑義もお構いなし?》(2016年12月18日)


 12月8日(木)は定例の教授会でした。そのなかで、重要な案件に関わる審議の取り扱いについて、大きな騒動がありました。

 その案件は、手続き的に問題があると想定される状態で教授会に上がって来ており、問題があるのではないかという指摘は教授会前の段階でなされたにもかかわらず、当日そのまま審議されようとしていました。

 そこで教授会構成員から「このような形での審議は規程違反ではないか?我々教授会構成員は規程違反を犯したくない。規程違反でないなら根拠を示してほしい。」という声が上がり、その問題について色々な指摘もなされました。

 しかしこうした教授会構成員の再三の要望に対して、学部長は「規程違反ではありません。」を繰り返すばかり。しかも、規程違反ではない明確な根拠の説明はありませんでした。

 また、このような疑念のある案件であるため、規程違反に当たるのか、審議に入るべきかどうかを、まず投票で決すべきという構成員からの強い要望も出されましたが、学部長はこれを拒否し、強行して審議に入りました。 「教授会は、審議事項について意見を言うことが出来るのみである。最終決定は学長が行う。」これが、学部長の説明です。

 学部長は「教授会は審議事項について意見を言うことができる」と言いますが、本学の教授会規程は正しくは以下の通りです。 以下、本学教授会規定を掲載します。この教授会規定については、どなたでも本学ホームページから見ることができますので、是非皆様ご覧ください。

(審議事項)
第3条 教授会は,学長が次に掲げる事項について決定を行うに当たり意見を述べるものとする。
(1) 学生の入学,卒業及び課程の修了
(2) 学位の授与
(3) 前2号に掲げるもののほか,教育研究に関する重要な事項で,教授会の意見を聴くことが必要なものとして学長が定めるもの
(議事)
第5条 教授会は,構成員の5分の3以上の出席をもって成立する。
2 議長は,議事について十分な審議を尽くし,構成員の意見をまとめるよう努めるものとする。
3 議長は,前項の議論を踏まえた上で,教授会としての結論を得る。
4 議長が必要と認めた場合は,出席した構成員の過半数をもって決し,教授会の意見とすることができる。この場合において,可否同数のときは,議長の決するところによる。
(規程に述べられている議長とは、学部教授会では学部長、大学院教授会では研究科長を指します。)

 教授会は学校教育法で大学に設置が定められている審議機関であり、提出された議題に対して審議して結論(承認・不承認)を得る必要があります(ただし、教授会は大学の最終決定機関ではなく、最終的には学長が決定を行います)。つまり教授会が意見を述べるということは、「教授会の意見をまとめ、教授会として結論を得たものを意見として提出する」ということで、教授会で構成員が各々発言したことを議長が適当にピックアップして学長に伝えるといったことではありません。

 この点については、これまでの教授会でも、疑念や異論、反対意見が出た場合でも、議長である学部長(及び研究科長)は、可否を決したうえでそれを教授会の意見とする、ということは一切ありませんでした。最初から議題の承認を前提とし、教授会構成員から出た発言は学長に伝えると言うのみです。

 本来であれば、議長は、個々人の発言ではなく、審議体である教授会として結論を得た意見を学長に伝えるべきところです。しかも、実際には、学長には文書ではなく口頭で伝えています。教授会構成員の発言のうちどれがどのように伝えられたかも不明のままです。審議の様子がわかる議事録さえ作成されていません。(「議事概要」と名付けられたごく簡単なもので誤魔化しています。)

 教授会として議題を審議した結果、つまり「教授会の意見」を学長に伝えて来なかったことは、議長(学部長もしくは研究科長)が規程を曲解し誤った形で教授会運営を行っていることを意味します。

 今回の事例も、また上で述べた教授会運営の方法そのものも、学内規程や手続きを守らないことを意味し、それは重大なコンプライアンス違反であることに他なりません。そしてそのことは、大学公式ホームページで公表している「国立大学法人福岡教育大学役職員行動規範」の中の、「01.私たちは、関係法令及び学内諸規程を遵守し、社会規範を充分に尊重し、社会人としての良識に従って行動します。」という規定を、議長(学部長及び研究科長)は遵守していないことを意味します。

 特に、今回の案件については、規程違反かどうかという大きな問題です。それをまともに取り扱わないまま、「教授会を主催するのは学部長である。教授会の進行は学部長に権限がある。しかもすべての最終決定権は、学長にある。」として、構成員の抗議の声を無視して内容に関する審議をないがしろにし、会議は進行されました。

 当日は、途中退室の構成員もかなりいました。国立大学法人の学長の権限強化が叫ばれ、学校教育法の改正が行われ、さらに学長権限が増強されつつあります。その方策を最大限に利用している福岡教育大学執行部の暴走を停めるのに、もはや猶予できないところまで来ています。

 役職員行動規範遵守などのコンプライアンスは、大学で最重要視されるべきものであるにかかわらず、それらを無視する大学執行部の罪は許されるはずのものではありません。

 福岡教育大学は、サクライさんやテラオさんによって創設された大学ではなく、学生の授業料や国民の税金によって運営されているのです。

 「すべて学長が最終決定する」と言っても、審議は保証されねばなりませんし、整合的で矛盾がない体制で進められているか複数の観点からの確認が必要です。

 学長一人で大学運営はできないのですから。
教授会後、失望の声を漏らす教員の声が多くありました。このような大学でよいのでしょうか。