《エンブレムの意味がおわかりでない?? そのようなものを堂々と??》(2016年8月26日)


 エンブレムは、英語のemblemです。日本でもっとも権威ある辞書の一つである、研究社の新英和大辞典を調べると、1.しるし、記章:紋章に類するもの 2.a 象徴、表象(symbol)b(ある性質の)典型、かがみ(type) 3.《古》寓意画、エンブレム 4.(出版社などの)標識図案 という意味が出てきます。オックスフォードやロングマン等の辞書もほぼ同じ意味です。ここには「聖人」という意味は出てきません。

 つまりエンブレムとは、「印・表象」「化身・典型」「寓意画」というものであり エンブレムということばそのものが「聖人」を意味するのではありません。

 それではエンブレムについてのこの奇妙奇天烈な説明は一体どこから来ているのでしょうか。エンブレムをWikipediaで調べると、次のような記述があります。

 「エムブレム(英: emblem)とは、道徳的真理や寓意といった概念を要約する、あるいは王・聖人といった人物を表す、抽象的あるいは具象的な画像のこと」

ここに「王・聖人といった人物を表す」というフレーズがありますが、この文章は「王・聖人を表す抽象的あるいは具象的な画像」とつながります。つまりエンブレムとは、「寓意、あるいは王や聖人の画像」を意味すると述べられているわけです。(ちなみにこれも、エンブレムの意味のすべてではありません。)

 次に「聖人」をWikipediaで調べてみましょう。

 「一般的に、徳が高く、人格高潔で、生き方において他の人物の模範となるような人物のことをさす」

 どうも、エンブレムの何たるかを知らない人たちが、Wikipediaの中の記述をコピー&ペーストして、つなぎ合わせて作った間違いだらけの内容を、堂々と大学概要に掲載しているようです。「Wikipediaをコピー&ペーストしてレポートを作ってはいけない」と常日頃学生を厳しく指導していますが、コピー&ペーストして作られたであろう、しかも間違った内容に基づくロゴマークを、我々は掲げなければならないのでしょうか。情けない限りです。それとも、深く考えずに何でも盗んでしまうことは、役職者の研究不正の事例から見ても、今や福教大にとって当たり前のことなのでしょうか。

そもそも「聖人」とは、東洋においても西洋においても、ただ徳が高いからなれるものではなく、たとえばカトリックにおいては教会が与える称号というような特別な立場の人を意味するのです。

「エンブレムをモチーフとしてデザインした」という箇所も違和感のある説明です。

 つまり、一事が万事。一部の限られた人間でやって大失敗している事例が、ここにも発生しています。ちなみに学生がもしテストでこのような解答をしたら、もちろん不可です。