《これこそ「恣意的運営」の動かぬ証拠! ~理由不明の「意見書」不開示~》(2016年6月8日)


「意見書」不開示に至るまで

 これまでの経緯を再度、振り返ります。

 3月22日、教員有志84名が学長選考会議議長に、寺尾学長の解任と学長選考やり直しを求める「要望書」を提出しました。

 3月31日、学長選考会議が教員有志の「要望書」に対応して、「意見書」を大学宛に提出しました。同会議の喜多議長は「意見書」を教員有志世話人に手渡すよう、担当事務に指示していたにもかかわらず、「大学の判断」として、教員有志には渡されませんでした。

 4月5日、有志世話人は情報公開規程に基づき、「意見書」および「3月22日の学長選考会議の議事録と資料全て」の開示を請求しました。

 5月9日、事務担当者から有志世話人に連絡があり、「意見書」の開示については学長選考会議の判断によるということで、開示・不開示決定が延長されました。

 6月3日、有志世話人に対し、「意見書」の不開示と、議事概要開示の通知がありました。(前回記事)

「独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律」第5条第3号とは

 一体なぜ、「意見書」は開示されなかったのでしょうか。6月3日に交付された「法人文書部分開示決定通知書」には、次の記載があります。

 「前学長選考会議議長より○○○○に渡すよう指示された「意見書」については、独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律第5条第3号の規定に該当するため不開示としております。」 ※○○○○は有志世話人の氏名

 「独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律」第5条第3号は次のようになっています。

第五条 独立行政法人等は、開示請求があったときは、開示請求に係る法人文書に次の各号に掲げる情報(以下「不開示情報」という。)のいずれかが記録されている場合を除き、開示請求者に対し、当該法人文書を開示しなければならない。

三 国の機関、独立行政法人等、地方公共団体及び地方独立行政法人の内部又は相互間における審議、検討又は協議に関する情報であって、公にすることにより、率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ、不当に国民の間に混乱を生じさせるおそれ又は特定の者に不当に利益を与え若しくは不利益を及ぼすおそれがあるもの

 整理しますと、学長らは当該の「意見書」がまず  「国立大学法人の内部における審議、検討又は協議に関する情報」 に該当するものであると判断したことになります。 その上で、公にすることによって

 ①率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ

 ②不当に国民の間に混乱を生じさせるおそれ

 ③特定の者に不当に利益を与え若しくは不利益を及ぼすおそれ

 という3つの「おそれ」の1つ以上に該当すると判断したわけです。

 こう言われましても、われわれとしては具体的に①~③にどう当てはまるのか、想像がつきません。それで改めて有志世話人から事務担当者に対し、どれに当たるのか問い合わせました。

 すると回答としては、第5条第3号を包括して判断している、ということで、具体的にどう当てはまるかは示されませんでした。

不開示は大学の私物化ではないか

 第5条第3号の全体に相当するとなると、具体的にどういうことなのか、想像するしかありません。

 ①については、やはり「中立性」が問題です。「意見書」を公開することで、この場合は学長選考会議の意思決定の「中立性」が不当に損なわれるということになります。これは、学長らが、「意見書」が「中立性」を欠くものであると判断したことに他ならないのではないでしょうか。しかし学長選考会議は学長を選考するのですから、その「中立性」を学長が決定するのもおかしな話です。

 ②については、「意見書」が「不当に国民の間に混乱を生じさせる」ような内容だったのでしょうか。ますます気になります。

 ③については、「特定の者」とは誰でしょうか。「意見書」が公表されることで、寺尾前学長、櫻井学長らにとって「不利益」が生ずるのでしょうか。果たしてそれは「不当」なものなのでしょうか。

 以上を総合すると、要するに学長らは自分たちにとって不利な内容は「中立性」を欠き、不当だと判断していることになるのではないでしょうか。一言で言えば、これこそ大学の「私物化」だと思います。

恣意的取扱をやめ、「意見書」を一刻も早く公開せよ

 話を戻しますと、「法人文書部分開示決定通知書」には、「前学長選考会議議長より有志世話人に渡すよう指示された「意見書」」という記載があります。前議長が有志世話人に渡すことを指示した、ということは大学も認定していることになります。

 これまで問題にしていますように、そもそもなぜ議長の指示に反して有志世話人に渡さなかったのか、という問題は依然未解決です。それは「情報の公開に関する法律」とはもちろん関係ありません。「大学の判断」としか聞かされていません。まさに理由不明です。

 そして5月9日には、「意見書」は学長選考会議のものなのでその判断を待つ、と通知されていました。しかし今回の不開示通知には、学長選考会議の判断という言葉はまったく出てきません。つまり、この一ヶ月でまた理由が変わったわけです。

 結局、「独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律」第5条第3号の規定により不開示とされましたが、上記の通りこの法律をどう適用したのか不明です。

 つまるところ、3月31日から現在まで、学長らはこの「意見書」に関して全く恣意的な取り扱いしかしていない、と言わざるを得ません。このこと自体、現在の福岡教育大学が公的機関としてのまともな運営から程遠い状態にあることを示しています。