《大学教員に対して、附属学校での長期間にわたる研修命令が出されます》(2016年4月9日)


 本学の大学教員を対象に、附属学校・園を用いた実地指導・実務経験研修という研修制度が、この年度末3月17日に附属学校で、18日に大学の教育研究評議会で突然提案されました。しかもH28年度から試行するというものです。 附属でも、大学でも突然報告されたものでした。

 この研修は、ミッションの再定義で述べている、学校現場で実務経験のある大学教員を第三期中期目標期間末までに30%確保する、ということに対応するためであると説明されています。具体的には通算180日を最長4年の期間に分けて、大学教員を附属学校・園で研修させるというものです。1日の終日を学校現場に出向き、学校の活動に実質的に参加させることになります。大学に新規採用された教員は、採用後の6ヶ月間、述べ180日間、連続した期間、附属学校・園での勤務を必ず命ぜられます。

 大学でも附属でも既にH28年度の時間割も学事予定も決定され動き出そうとしている時に、このような大きな計画の実施が提案されたのです。

 18日の提案当初、この研修の対象者は40歳以下の大学教員全員とされました(ただし1年以上の教諭経験者は除く)。しかもその対象者はいない教育研究評議会でのみ提案され、対象者を含む大学教員で構成する教授会では説明すらしないとされました。そのため、教授会では、 大学の授業実施上での支障、附属の負担や児童・生徒への影響が指摘されるとともに、教員の労働条件の変更に当たるものがそのような形で一方的に決められることへの強い疑義が示されました。

 教育研究評議会では3月末に2回議論されて決定されることになりましたが、1回目と2回目では「実務経験のある大学教員」の定義や研修の内容も変わるなど、あまりにも不透明なところが多い内容になっています。決定された案については、40歳以下という限定がなくなり、研修希望者とされましたが、 純粋な意味で「希望者」となるかは怪しいところです。

 本来、実務経験を学生教育にどのように生かすか、また附属にとってどのような大学との連携が望ましいか、 双方に意味がある取り組みにするためには、綿密な検討が必要です。更に実施計画については一層の注意が払われるべきで、 数値目標達成のために急いで実施されるべきものではありません。

 大学教員は大学での授業を行いながら、週に約1日、授業が入っていない日に附属学校に赴き、附属教員と一緒にティーム・ティーチングなどで児童・生徒に授業をしつつ、 丸1日附属教員と同様の業務をすることになります。また、週1日では研修期間が足りない場合は、学生の附属学校での実習期間にも研修を行うという話もあります。

 研修参加教員の(またそれをカバーする他の教員の)大学での学生教育や研究に、支障をきたす可能性が大いにあります。

 附属学校にとっても、実習生を教育し、研究授業を推進して地域教育に貢献するという第一義の目的や役割が損なわれる可能性があります。現状でも附属学校は多忙を極めているなかで、更なる業務をこのような時期に突然大学から一方的に押し付けられた形です。何より児童・生徒への影響を考慮しないまま、このような計画が実施されようとしていることは非常に危惧されるところです。